全国各地で活躍するマウジン2016 杉﨑良子新聞紙恐竜作家

SUGIZAKI Ryoko (杉﨑良子)・新聞紙恐竜作家
(2005年度 武蔵野美術大学造形学部デザイン情報学科卒業)
1982年生まれ。在学中より新聞紙で恐竜をつくり始め、日本の新聞紙と糊(液状のりアラビックヤマト・協賛)だけで自由な創造力のシンブンシキョウリュウを制作する。
2006年新聞恐竜の作り方「形の創造のプロセス」にて卒業・修了制作優秀賞を受賞。
2016年にはフランス・パリにて個展開催はじめ個展、グループ展に多数参加。
<主な展覧会>
2016年 大恐竜展 新潟朱鷺メッセ、恐竜博2016、ギャラリー上り屋敷(目白)*ギャラリー上り屋敷企画・凱旋東京展。
2015年 武蔵野美術大学×伊勢丹「U-35若手クリエイターによるアート・デザインの現在」参加。
<主なメディア出演>
2016年 テレビ朝日デザイン・コード、東京外国語大学 学部入学案内2017表紙
2015年 フジテレビめざましテレビ、東京FMク ロノス、東京新聞、読売KODOMO新聞、ほか。
作家HP onikudaisuki.jp

「人が思わず拝んでしまうくらいの作品をいつかつくりたい」

手のひらに乗った新聞紙恐竜

─どんな子ども時代でしたか

小学校の頃から絵を描くことが好きで、将来は絵描きになりたいと思っていました。
ある日、上野の博物館で恐竜の巨大な骨格標本を観て衝撃を受け、それから恐竜にハマりました。当時公開された映画「ジュラシック・パーク」を人の目線ではなく恐竜の目線で観ているような子どもでした。

─学生時代のエピソードは

ひたすら課題をやることに必死でしたが、振り返ってみると根本的なものの見方を大学で学ぶことができました。
何をやっても怒られないような大学の自由な雰囲気に居心地の良さを感じていました。
大学3年の終わりにゼミの課題で、好きだった恐竜をテーマにしてみようと思ったのが新聞紙恐竜をつくり始めたきっかけです。

モチーフ:Velociraptor
w45xd240xh180(mm) 2009制作

─制作でこだわっていることは

恐竜の骨格標本や図鑑を見ながらスケッチを起こし、骨を決めたら鶏や爬虫類など現代の生物の肉付きを参考にします。内部の芯も新聞紙でつくり、表面は紙やすりを使ってツルツルにします。恐竜が「生きている」という感じを出すためにあえて体つきをムチムチにするなど、自分の解釈を入れてつくっています。

─新聞紙で恐竜をつくる面白さとは

新聞自体が人間の言葉の寄せ集めによってつくられていて、恐竜も人間が発見して想像したからこそ形が生まれた存在です。
読んだ後はゴミとして捨てられる新聞紙がアートとして価値が出て売買され、そうやって人間が価値を決めることによって一瞬でモノの価値や役目が変わるのが面白いと思います。

恐竜の骨格図鑑などを参考にしてスケッチを起していく

─杉﨑さんにとって「つくること」とは

ご飯を食べることと一緒で、人間として生きるための糧です。
2011年の震災時に、明日が来るということがあたり前じゃないということに気づき、「つくること」に対してよりストイックになった気がします。

─学生へのメッセージ

とにかく手で何かを生み出せる人は強いです。
どうすればいいかを常に考え、実践できる実行力をつけることが大事です。作品鑑賞もネットではなく、本物を見に行ったほうがいいです。

羽制作中 2011

─今後の展望、夢

いつか美術館に買い上げてもらうのが目標です。
なぜなら自分が死んでも作品が長生きできるからです。現状の作品では意味合いやメッセージ性、価値がまだ足りていないのも自覚しているので、答えを探しながら模索しています。
作品を見た人が思わず拝んでしまうくらいの、言葉はなくても伝わる次元にまでいきたいです。

モチーフ:Tyrannosaurus
w110xd170xh210(mm)  2011 制作

編集後記

杉﨑さんが制作しているのは、ムサビからも近い恋ケ窪にある自宅兼アトリエ。
部屋の壁には一面、写真や切り抜きなどが貼られ、常に制作のアンテナを張っている様子が伺える。
糊が乾くのに時間がかかるため、複数の新聞紙恐竜を同時並行で作っているという。
制作に集中すると寝食を忘れるほど没頭してしまうこともあるという杉﨑さん。
落ち着いた話し振りでありながら時折ギラリと光る鋭い言葉の中に、様々なものに抗いながらストイックに制作を続ける作家の覚悟を感じた。

ライタープロフィール

百野 健介
2005年度 武蔵野美術大学造形学部 映像学科卒業
フリー映像ディレクター、カメラマン